中国の三大宗教は、仏教・儒教・道教である。仏教はインドから伝来された外来宗教であり、儒教は孔子の唱えた倫理的考察を根幹としている。 道教は、仏教・儒教のような開祖、教理 教義といったものがなく、自然観察によって生まれてきた様々な原始信仰が混合し、集大成してきた宗教だ。

儒教が《徳》、仏教は《仁》奉仕の精神を説くのに対し、道教は極めて現実的で《今》を大切にしている。民間宗教の為、非常に功利主義的で、生きている人間の利益を追求した考え方が、多くの民衆の心を強く捉えた。 この宗教の面白さは、 最大のテーマが《不老不死》という所にある。東洋医学や漢方医学はこの道教の流れの中で発展してきた考え方だ。仙人・仙女がもたらす妙薬(仙薬)や《不老不死》というおとぎ話的な目的を、教理の究極の目的として展開する事から、初期の道教の考え方は展開している。

その反面、呪術や功利的な面もあった為、日本人の性格に馴染まなかったようで、日本には道教文化は根づかなかったか、台湾や香港に行くと、真っ赤で派手 絢爛豪華な寺院を眼にする事があると思う。あれが道教のお寺《道観》だ。他国でも中華街などに行くと眼にすることがあるだろう。 信者は紙幣に見立てた金紙や銀紙を焼いて、神様に《お金》を捧げる。死者のがあの世で高い地位につけるようにと焼くのだが、地獄の沙汰も金次第・・・ 非常に現実的な宗教である。

宗教としての道教はわが国には入ってこなかったが、東洋医学や天女伝説(羽衣伝説)・暦法など 様々な形で日本文化に融合されている。長寿の象徴である亀を助けることにより、天女の国竜宮城に招待され永遠の命を与えられたが、現実の世界に眼を向けた途端その魔術が解けてしまった《浦島太郎》伝説などは、道教の考え方そのものと言われている。万葉集に書かれていたこの物語は、当時 奈良時代(七百十年)でさえ、かなり遠い昔に伝えられた話と記されている所をみると、道教の影響は日本文化に古く、広く影響をしていたと考えられる。算命学はこの道教の影響を強く受けている学問である。